長い高血糖状態が招く「糖尿病腎症」

糖尿病腎症は、糖尿病にかかり10年以上で、血糖コントロールが悪く、高血糖状態が長期間にわたり続いた人に発症します。

腎臓にある糸球体は血液をろ過して、老廃物を尿中へ排泄する働きがあります。この糸球体はたくさんの毛細血管でできていて、高血糖状態が続くとこの毛細血管が硬くなり、血液のろ過機能が低下します。この状態が長く続くと、自分では血液をろ過することができなくなり、血液透析をしなくてはいけなくなります。

腎症が発病して、それを放置しておくと、約30年ほどで腎臓の機能が停止する「腎不全」になります。腎不全になると、人工透析療法が必要になります。
人工透析とは、本来腎臓が行う血液とその中の老廃物(尿)を分離することを機会で代行してもらう治療です。症状により差はありますが、だいたい 1日おき、1回につき3~5時間ぐらいかけて行う、時間と金銭面において負担が大きい治療です。
現在、人工透析を受けている日本人は、約 23万人いるといわれています。その中の約4割が糖尿病の方で、その人数は年々増加しているそうです。

腎症は、症状のひとつである「むくみ」に気づくころには、すでに人工透析が必要な状態にまで進行している場合があります。また腎症の進行段階に応じて、腎臓障害に配慮した塩分、タンパク質の摂取制限など、食事療法がいっそう難しくなっていきます。

糖尿病による腎臓障害を予防するには、自覚症状がなくても、血糖コントロールを心がけ、定期的に尿検査を受けたり、塩分やタンパクの摂り過ぎを注意するなど腎臓にやさしい生活を送ることが大切です。

◆糖尿病腎症の5段階◆

糖尿病性腎症は、以下の5段階に分類されています。

第1期(腎症前期)

糖尿病性腎症になっているかどうか発見できない時期ですが、半年から1年に 1回は微量アルブミン尿の検査を受けることが必要です。

第2期(早期腎症期)

微量アルブミン尿が出ている時期で、クレアチニン・クリアランス値は正常な場合と高い場合があります。高血圧症、網膜症、神経障害なども併発しています。徹底した血糖と血圧のコントロールが必要です。

第3期(顕性腎症期)

タンパク尿が出てくる時期。さらに第3期Aと 第3期Bとに分けられます。Aであれば血糖コントロールによってタンパク尿を減らすことができますが、Bとなると血糖コントロールだけではタンパク尿を減らすことはできなくなり、仕事や生活を調整する必要があります。

第4期(腎不全期)

クレアチニン・クリアランスが低下する時期。ここでも血糖や血圧のコントロールが必要ですが、急激に血圧を下げるとかえって腎機能の低下が進み、治療が困難になります。 大量のタンパク尿が原因で全身に水がたまり、やがて人工透析が必要になります。

第5期(透析療法期)

第5期では、ほとんど腎臓が機能しなくなり、大半の人が重症の網膜症や大血管障害などを併発しています。透析療法には「血液透析」と「腹膜透析」の2種類があります。
ここまで腎障害が進まないよう、早い時期から主治医の指導を受け、治療することが大切です。