早い時期に発生する合併症「糖尿病神経障害」

「神経障害」は、高血糖状態が続くことにより起こる糖尿病の三大合併症のひとつです。「腎症」や「網膜症」より早い時期に起こります。
末梢神経の知覚神経や運動神経に障害が起こると、手足にしびれや痛みが出現したり、筋力の低下が起こります。さらに障害が進行すると感覚が鈍くなり、冷熱や痛みに対する反応が鈍くなります。そのため、やけどを負ったり、足に傷を負っても気づかず、そのまま放置してしまい、感染症を起こし壊疽に至ることもあります。
自律神経に障害が起こると、勃起障害(ED)や発汗異常、内臓に不調が起こります。

糖尿病性神経障害の分類と主な症状

分 類 主要原因 症 状
広範性対称性神経障害 多発性神経障害
(感覚・運動神経の障害)

ポリオール代謝異常 異常感覚(しびれ、ジンジンする感じ、冷感)、自発痛、神経痛、感覚麻痺、こむらがえり
自律神経障害 ポリオール代謝異常 発汗異常(味覚性発汗、無汗)、起立性低血圧、胃無力症、便通異常(便秘、下痢)、胆のう無力症、膀胱障害、勃起障害、無自覚性低血糖など
単一性神経障害 血管閉塞 脳神経障害(顔面神経麻痺、外眼筋麻痺、聴神経麻痺など)、四肢の神経障害

◆麻痺◆

感覚神経や運動神経の障害によって起こる「多発性神経障害」。手足の末端部分の痛みやしびれ、足の裏の感覚が鈍くなることから始まります。やがて、足先から膝、手先から肘へと、体の中心に向かって広がっていきます。
末端神経の集まる足先は、安静時や夜間に痛みが増します。両手足の同じ部分に症状が出るのが特徴です。関節部麻痺で運動機能が損われ、リハビリテーションが必要になる場合もあります

◆胃腸不良◆

自律神経が不調になると、胃腸の働きが悪くなります。

胃に起きる症状

自律神経の障害があると、胃の動きが不規則になることがあります。神経障害が悪化してくると、胃の運動が低下します。胃の運動が悪くなると、食べたものをスムーズに消化できなくなり、消化吸収に乱れが出てきます。そのため、食後の血糖値が乱れ、血糖コントロールが悪くなる場合があるので、注意が必要です。

腸に起きる症状

自律神経障害により、腸の動きをうまくコントロールできなくなるため、ひどい下痢や便秘が長引いたり、下痢と便秘を交互に繰り返したりします。
高齢者は、下痢によって血圧が下がったり、下痢によりひどい脱水症状になったりすると低血糖になるきっかけになるので、注意しましょう。

◆勃起障害(ED)◆

糖尿病による軽い勃起障害であれば、血糖コントロールで改善することができます。食事療法、インスリン療法をはじめたら治るという場合もあります。
ただし、糖尿病の男性が必ず勃起障害になるわけではありません。勃起障害の原因は糖尿病ばかりでなく、糖尿病ではない人でも年齢とともに勃起機能は少しずつ衰えます。糖尿病できちんと血糖コントロールをしていても、やはりそれは避けられません。
また、心理的な原因で勃起障害になることもあります。その場合は、医師に相談したり、カウンセリングを受けるなど、不安を取り除くことで改善されることが多いです。